米国陸軍レンジャーや陸上自衛隊の訓練などでも使用される 歩行距離計測ツールをパラコードで作る方法(具体的な使い方や 特徴も)をご紹介します。
一般的には、レンジャービーズやペースカウンターとも呼ばれています。
今回の記事では、ビーズ部分の結び目にケルティック・ボタン・ノット(1本のダイヤモンドノット)という結び方を用いて作り方をご説明します。
Paracord ranger bead (pace counter) tutorial.
記事内で 使用した材料や道具などの詳細は、こちらをご参照下さい。
特徴
簡単にご説明すると、ビーズを動かして 歩行移動距離を計測(カウント)して現在位置を特定する道具になります。
こちらが、レンジャービーズです。
1つ1つのビーズの部分(グレーの結び目)が、スライドさせて自由に動かせるようになっています。
画像左側の4つのビーズ(上部)と、画像右側の9つのビーズ(下部)に分かれて構成されているのが一般的です。
上部のビーズ1個が1kmで、下部のビーズ1個が100mを表します。
このビーズを1つずつスライドさせて、現在どれくらい歩いたのか(歩行移動距離)をカウント(計測)していく道具になります。
使用する意味
米国陸軍の軍事訓練にルーツがあるようで、現在ではGPSも存在する中で 作りがシンプルで扱い自体は特別技術も必要ないという点から アメリカ陸軍や陸上自衛隊の訓練でも使用されるようです。
近代のGPSや万歩計は、電池を使用する物が多く計測中に電池切れになったり、また破損により使えなくなってしまう可能性もありますが、レンジャービーズだとそういった問題も起こりません。
地形図、コンパスでの方角、歩行移動距離の計測の3つで、比較的正確に現在地を特定することが可能なようです。
①使う前の準備
ここからは具体的な使い方を解説していきます。
準備として、あらかじめ100mを歩く際の自分の平均歩数を測って知っておく必要があります。(自分が100m歩くのに、どれくらいの歩数なのかを調べておきます)
その際は、片足(左または右)が地面に着いた数で歩数を数えるのが一般的なようです。
この計測を何度か繰り返して、100mの平均歩数を出して出来るだけ誤差が出ないようにします。
②実際の使い方
自分の100mの平均歩数が分かったら(ここでは100mを仮に片足60歩の平均歩数として)、
片足60歩を歩いたら、下部(9つ)の内の1個のビーズを下(画像では右)に移動させます。
これで100mが計測(カウント)できました。(下部のビーズは1個、100mを表します)
また片足60歩を数えながら歩いて、60歩(100m)を歩いたら、また下部のビーズを下に1個移動させます。
これで200mが計測(カウント)出来ました。
歩数を数える、100m歩いたら下部のビーズを1個スライドさせる、この繰り返しで どんどん計測していきます。
9個全て下にスライドさせたら、
頭の中でもう1個分(100m)を計測します。(これで、合計10個のカウントで1000m・1kmを計測出来たことになります)
合計10カウントしたら、
下部の9個のビーズを元に戻します。(全て上に移動させてリセットします)
下部のリセット後、
上部のビーズ1個を 下に移動させます。
これで、1kmのカウントです。(上部のビーズは1個、1kmを表します)
また同じように片足60歩を数えながら歩いて、60歩(100m)を歩いたら、また下部のビーズを下に1個ずつ移動させます。
また9個全て下にスライドさせたら、頭の中でもう1個分(100m)を計測して1km計測し、
合計10カウントしたら、下部の9個のビーズを元に戻します。(リセットします)
下部のビーズのリセット後、上部のビーズ1個を また下に移動させる(1kmカウントをプラス)という流れになります。
全ての上部のビーズ(4個)を下に移動させたら、これで、4km測れました。
最後に下部のビーズでもう1km測ります。頭の中でもう1個分の上部のビーズ(1km)をカウントして、これで合計5kmをカウントすることが可能という訳です。
以上がレンジャービーズの使い方になります。
ここからは、作り方をご説明していきます。
パラコードのカット
軸用のパラコードは、約1m30cmの長さでカットしました。
パラコードをカットするときの詳しい方法はこちらをご参照ください。
ビーズ用のパラコードは、約80cmの長さで
合計13本、用意します。
準備
カットした軸用の紐を 準備していきます。
先端の部分を合わせて、半分に折り返します。
折り返した部分で、結び目を作ります。
結び目①
下から左上に移動させて、輪を作ります。
そのまま、下から輪に通します。
通したら、
左の輪の部分が、約10cmの長さになるように 引き締めます。
(ここまでが、結び目①の作り方です)
左の輪の部分が、約10cmの長さになるように 引き締めました。
次に右側の部分に、上部の4つのビーズを作っていきます。
1本のダイヤモンドノット(ケルティック・ボタン・ノット)
ここからは、ビーズ用にカットした紐を使って 1本のダイヤモンドノットを作っていきます。
こちらのビーズ部分を 作っていきます。
上の画像のように、結び目だけ作って 完全に引き締めずにおいて下さい。
結び目を作る際には、左側を短く取って(左を短くして)結ぶと結びやすいですよ。
1本のダイヤモンドノットの結び方の詳細は、こちらをご参照ください
ダイヤモンドノットの結び目が出来たら、先程結んだ軸用の紐を 結び目の中心に下から通します。
下から通したら、結び目全体を 奥に丸めるようにします。
結び目全体を 奥に丸めました。
先端の紐を引いて、引き締めます。
引き締めました。(ここから、1本ずつ引いて全体を引き締めていきます)
上の紐を 引っ張れる紐を結び目の中から、探して引きます。
上の紐を 引っ張れる紐を結び目の中から、探して引きました。
今引いて出来た輪を 引き締められる紐を結び目の中から、探して引きます。
さらに、今新しく出来た輪を引き締められる紐を 結び目の中から探して引く、と繰り返して全体を引き締めていきます。
1周しました。
まだ結び目が緩いので、もう1周 先程と同じように全体を引き締めます。
もう1周しました。
ここで結び目を実際にスライドさせてみて、程よく抵抗があるくらいかどうか確認します。
(スライドさせてみて、あまりスムーズすぎると何かの拍子に勝手にビーズ部分がスライドしてカウントの妨げになる場合があるので 動かしてみて少し抵抗があるくらいの 加減に調整すると良いかと思います)
動きを確認してみて、OKなら余分な部分を カットして焼き止めします。
カットして、焼き止めしました。
焼き止めの詳しいやり方は、こちらをご参照ください。
あとは、先程の作り方と同様の流れで 結び目を 合計4つ作ります。
次に 続きの部分で、結び目を作ります。(結び目①を行います)
結び目①を 行いました。
上部のビーズを上に全てスライドさせたときに、間隔となる部分の長さは4cmにしました。
今度は、下部の部分を作っていきます。(画像右側の部分に 1本のダイヤモンドノットを合計9個 同じように作っていきます)
下部の部分用に、合計9個のダイヤモンドノットの結び目を作りました。
右側の部分に、結び目を作っていきます。(また結び目①を行います)
結び目①を 行いました。
下部のビーズを上に全てスライドさせたときに、間隔となる部分の長さは5cmにしました。
結び目が出来たら、紐の余分な部分はカットして焼き止めします。
カットして焼き止めしました。
完成
処理ができたら、これで完成です。
カラビナにカウヒッチして取り付けても、
携帯性が上がりますし、
リュックサックなどなら、輪の部分を直接カウヒッチして取り付ける方法もあります。
カウヒッチの結び方の詳細は、こちらをご参照ください。
こちらは以前ご紹介した、パラコードでThin Blue Line編みのキーホルダーの編み方のYouTube(動画)バージョンになります。一応リンクも貼っておきます。https://youtu.be/LgkQGPM6UTc
「パラコードの編み方を(画像&編み方の名前で)まとめた 図鑑形式の記事もございます。詳細は、こちらをご参照ください」
まとめ
今回は、パラコードでレンジャービーズの作り方をご紹介しました。
こちらは ビーズ部分のダイヤモンドノットをひたすら作る、という作業が大部分です。
合計13個 結び目を作る必要があるので、一気に完成させようとすると大変です。作業の間に休憩を入れたり日にちを分けて編むなど、無理せず少しずつ作業を進めるようにすると 楽に編めますよ。
ペースカウンターとしての用途以外では、サバゲーでのキルカウンターとしても使えるようです。
興味のある方は、ぜひ挑戦してみて下さいね。
では、最後まで記事を読んでいただき、ありがとうございました。
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